卵子の質と染色体

このページ《無料ページ》は、卵子の質そして受精後の胚の質をテーマとして、染色体・DNAのレベルから説明してゆきます。

また、当該ページの下位層にも卵質関連の記事を置いてあります。

 

     ※ Member用のページでは、着床前診断(PGT-A)を受ける方の為に、より詳細&わかりやすい説明をしています。

   

 

  ☑ 成熟卵(MⅡ卵)が採れない

 

  ☑ 質の良い卵を採りたい

 

  ☑ 流産を繰り返したくない

 

  ☑ なによりも時間がない(生殖年齢)

 

  ☑ PGT-A、NGSのメリットとデメリット(限界)を知りたい

 

  

 

     

 

 

 

質が良いとのはどういうことなのか? 質が悪いというのはどういうことなのか?を、簡単な分子生物学もからめて話していきます。

 

     1) 染色体・DNA・遺伝子の基本

    

     2) 染色体の中に格納されている遺伝子

 

     3) モザイク胚から正常な赤ちゃんが生まれるメカニズム

 

     4) PGT-A(着床前診断)

 

     5) 卵子の質を考える

 

     6) 受精前&受精時の卵子の減数分裂の過程で生まれる染色体異常(=分離異常)

 

            1:染色体の異常にはどのようなものあるか?

            2:染色体の異常は、いつ起こるのか?

            3:染色体の異常は、どのように起こるのか?《重要》

            4: 「セントロメア」と「セントロメア結合」の違い

               5:染色体の中心(=セントロメア)と末端(=テロメア)における塩基の変異の発生頻度の差

                                            6:  染色体異常(精子の場合と卵子の場合の比較)

 

     7) 良い卵子・悪い卵子(=エイジング卵子)の違い

 

    

 

 

 

 


染色体・DNA・遺伝子の基本

  左のブルーの絵が染色体です。

 

  この中にDNAが綺麗に折り畳まれています。神技のように綺麗に折り畳まれ

 

  エラーが出た時も、綺麗に修復機構が働いてあなたも、私も生まれてきました。

 

  人知を超えた神様の設計図です。

 

                      ここで用語を説明をします。染色体・ヒストン(糸巻き)・DNA・そして遺伝子の

 

                      区別が以下の絵が簡単にわかると思います。

 

細胞の中にある染色体(綺麗に折り畳まれている)を解くと、約2mの糸になります。それがDNAです。そのDNAの中に遺伝子の階段が

 

綺麗にミスを修復しながら作られています。DNAはイラストのように二重らせん構造になっています。

 

その中に階段(4つの塩基)あります。  これが人間の設計図です。

 

《ゲノムとは・・》

 

そもそもゲノムとは「生物の全遺伝情報」のことで、

 

その実体であるDNAは、A、T、G、Cの4種類の塩基という物質が二つずつ対になり、二重らせん状に連なってできている訳です。

 

ヒトならば約30億塩基対もあるこのゲノムの中に、多種多様なタンパク質を作り出すための指令である遺伝子が織り込まれている。

 

これは何だか・・煙にまかれているように感じる人もいるので、モノに置き換えてみるとわかりやすいと思います。

 

そして、よく勘違いしがちなのことが、ゲノム=遺伝子ではないということです。このミス・リードを持ってしまうと

 

遺伝子を解明したから、ゲノムの世界を全て解明したと思ってしまうことです。それは違います。

 

直感的に理解してほしいので、こう考えてみてください。皆様が持ち歩いているPCのUSBフォルダーで説明します。

 

    染色体  >  ヒストン  > DNA  >  遺伝子

    ______                ________           _______            ________

 

   USBホルダー    階層   フォルダー  データ(音楽等)

 

つまり、遺伝子情報が書き込まれている訳です。

 

   具体的には、ヒストンと呼ばれる糸巻きに、DNAが糸のように巻き付いているのでで、たくさんのヒストン!糸巻きがあります。

   ヒストンを外れたり、位置がずれたりしてDNAの二重らせんがほどかれて遺伝子情報が読み取れてタンパク質がつくられてゆく。

   この遺伝子転写のスイッチのON・OFFが細胞の死(アポトーシス)に直結する訳です。分割停止になること。

 

 

 

   この遺伝転写のスィッチをON・OFFするのが

   「小人」の可愛いイラストで書きましたが、

    エピゲノムと呼ばれる遺伝子外装飾です。

 

   遺伝子の話では欠かせないエピ・ジェネティクスの

   話題なので・・ページの最後に項目を立てて説明して

   います。皆様の日常生活の中のリスクと絡めて

   環境ホルモンの話をしています。

   

                                  

 

 

【用語説明】

  

 

 遺伝  : 親の形質(=からだの特徴となる形や性質)が”子”に伝わること

 

☑ 遺伝情報 遺伝によって”親”から”子”や”孫”に伝わる情報

 

☑ 遺伝子 : 親から子や孫へ伝わる形質の情報   

 

☑ 染色体 : DNAとタンパク質の結合した構造物(いれもの)

        ビロロ~んと伸びるDNAをコンパクトにまとめるために、要所要所に糸巻きである「ヒストン」というものに巻き付けて

        整理整頓してあります。  

 

☑ DNA  : 遺伝子の本体(遺伝情報を伝える物質)で、核酸の一種

 

☑ 核   : 一つの細胞の中心にある細胞小器官で、この中に二重らせん構造のDNAからなるその細胞の”ゲノム”が含まれる。

 

☑ 核酸  : 生命の遺伝物質であるDNAとRNAを構成する化学物質。 核酸はすべて、二重らせん構造の鎖状につながった

         多数のヌクレオチドから出来ている。

 

☑ 塩基  : 上のイラストでは”階段”と表現したもので、核酸の構成要素であるA(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)

         U(ウラシル)、G(ガアニン)から、4つ選ばれてDNAや、RNAを構成する。

 

 

      

引用:「トンプソン&トンプソン遺伝医学」より
引用:「トンプソン&トンプソン遺伝医学」より

 

  ヒトの染色体は、23対46本。 XXが女性でXYが男性。

  1番から22番の常染色体とX,Yの2つの性染色体からなります。

 

  それぞれの染色体にはそれぞれのDNAが格納されていますが、上図はDNAの数を多いものから順に並べたものです。

        (DNAがデータ設計図ならば、染色体はそれを入れるUSBフォルダー)

 

  染色体ごとのDNA量の比は、それぞれの染色体の長さに比例します。(上図)

  13番・18番・21番は、染色体の上に存在する遺伝子の数そのものが少なく染色体の数の異常”トリソミー(後述)”の影響も

  他の染色体に比べて比較的に少ないので出産に至るのかも知れません。

 

  13番トリソミー・18番トリソミーの赤ちゃんは生まれるまで育つ率は2~6%

    流産になってしまう率は、13番が98%、18番が94%であり、そのほとんどは1年以上は生きられません。

 

   また、21番トリソミーの赤ちゃんは79%が流産になってしまいます。

   16番はこのグラフではわからないのですが、胎嚢まで確認できる臨床的妊娠は24%と群を抜いて高いです。

   妊娠した後に流産になってしまうものも含みます。

 

   そして、モザイクの問題も出てきます。白・黒・灰があるとしたならば灰色がモザイクです。

   赤ちゃんは、私たちが思っているよりずっと強いです。

 

   皆様は初期胚のグレード(例:3日目5分割G3) や胚盤胞(例:6日目3CC)とかの情報に振り回れている人も多いですが

   生まれ来る赤ちゃんは人間の理解の次元を超えたところにいるので、理解の及ばないことが起こりえます。

 

   〈モザイクとは・・〉

    染色体の異常(黒)と正常(白)が入り混じっている状態です。

    モザイクと判明して胚でも、赤ちゃんになる生まれてくる可能性は多いです。実際正常出産の15%はモザイクだっという

    報告もあります。着床前診断(PGTーA)をしている人以外は自分が戻す受精卵がモザイクであるとか知りえませんが

    PGT-Aをしている方は先生とよく話をする所です。

    

    このモザイクから正常の赤ちゃんが生まれてくるが私達と考えてもいいと思います。

    あなたも私も、もちろんPGTーAとか知らない中にこの世に生まれてきたと。

 

   

  


モザイク胚から正常な赤ちゃんが生まれるメカニズム

 

  胚盤胞の写真です。   

 

    TE(栄養外胚葉) → 胎盤になる細胞

    ICM(内細胞塊)  →    赤ちゃんになる細胞

 

  受精卵の発育段階で、胚分割の際に染色体が数の異常(=染色体の分配の異常)を

  起こした場合に細胞は淘汰されて分割が停止するか、またはDNAの修復機能が効いて

  復活するか、または左図の下のイラストのように赤ちゃんがいらない細胞を

  外側(TE)に押しやり自分自身を守ることによって

 

  赤ちゃんになる部分(ICM)には染色体の正常な細胞が優先的に残るように

  考えられています。

 

  着床前診断(PGT-A)は何度も流産を繰り返す方には必要な手段ですが

  その限界も正直あります。

  このPGTーAは、TE(胎盤になる外の細胞)に穴をあけて細胞をとって

  NGS法にて染色体の数の異常を調べる検査です。

 

  赤ちゃんが染色体異常の細胞を外に追い出すことでTEの部分にモザイク検出される

  ことになります。

 

  中の赤ちゃんは正常(=染色体異常がない)だから生まれてくる訳です。

 

   最新のNGS(シーケンサー)では、見え過ぎるほど見えて来ました。 モザイクも見えてきました。

   以下の記事にて「モザイク」の問題と倫理を 異なる立場の医療サイド・異なる立場の患者サイドの観点から

   日本産婦人科学会の、PGT-Aのパイロット臨床試験の中間報告(2018年12月16日)も踏まえて書き綴っています。

  


PGT-A(着床前診断)

 

「着床前診断」はPGSと呼ばれていましたが,現在は、外国を見習って・・PGTという表記になっています。

 そしてPGTは、特定タイプの胚試験と区別される為に3つに別れています。

 

(1)PGT-A:  Aはaneuploidyの「A」です。異数性です。

         つまり、染色体の異数性

        (ふつうは2本だけで1本多いトリソミー、1本少ないモノソミーそしてモザイク)の検査   

 

(2)PGT-SR: 染色体の構造異常の検査

       (染色体の転座とか逆位のこと) 

 

 

(3)PGT-M: 遺伝子疾患の検査。

        海外ではルーティンなシステムですが、神の青写真のような万能な検査ではないと知ることが大事です。

 

       反復流産の方・体外受精の反復不成功(着床しない)がいるので、

       体外受精を受ける人の立場や環境によって倫理の問題も含めて日本では

       現在パイロットスタディで継続実施されています。それが「着床前診断」です。 

 

       

 

 

 

  「いくらグレードが良くても・・・

 

  aneuploidy(数的異常) は入ってくるものだし、

 

  PGT-Aも、「神の青写真」を描いた

  完璧な検査ではないけど・・

    立場によっては必要だわね」

 

 

  そして安易に解禁すると遺伝子検査は、アメリカのように

  意義が拡大解釈されてゆくのも怖いし・・難しい問題ね。

  生殖ビジネスの範疇を更に越えてゆき、収まらなくなるのね。

 

 

 

 

《流産を繰り返す方には・・》

  子供を失うという・・悲しい気持ちに打ちひしがれることは

  なくなる。

 

《高齢で胚盤胞ができる人には・・》

  今までのように見た目だけの評価で移植の優先順位が

  決まるのではなくなるから、貴重な時間の節約になる。

 

  産めなくなる時間が迫っている人には「時間勝負」だから。

 

《ハンデを生まれてきた子供たち》

  本人たちは、幸せ感をほとんど子たちが持っていると

  いう報告もある。 そしてその子たちから生きる目的と勇気

  をもらっている母親も多いです。

 

それぞれの立場がそれぞれの意見があるから日本ではもう少し

時間がかかるようです。

 

 

 

  


◆今後の日本のPGT-Aの流れ

2019年の始め現在、着床前診断PGDについては、大きく日本の流れが変わろうとしています。

 

《第一弾の方向性》

日本産科婦人科学会が申請を届けた各体外受精実施施設の構成メンバー、倫理審査委員会、どの機関で検査を行うかなどの流れを

審査した上で着床前診断PGD許可施設を認定していくという方向性。

 

全国でも40施設前後しか許可されてないようでしたので、今後のパイロット臨床試験数が増えてゆくことになります。

 

 

◆日本人特有のDNA配列があるという盲点

 

【日本人特有のDNA配列は、国際ゲノム基準の雛形とは少し違う】

 

この話をする前に・・日本人特有のDNAの配列があります。

「薬が効かなかったり」しても「体質だから・・・」と一括りにされてお茶を濁さざるを得なかった時代から、

個別医療への舵取りが今始まっています。

 

 

今をときめくNGS(短鎖技術による次世代シーケンサー)は、DNAの雛形に付きあせて調べていますが、

その雛形は、2003年のヒト・ゲノム解読完了での国際ゲノム基準です。  

 

そのDNAの雛形は、ヨーロッパ系とアフリカ系の人に由来しており、一般的な日本人に特有のDNAの変化が反映されていませんでした。

そのために本来あるべき違いが検出されなかったり、間検査があったりと問題視されていました。 これが解消されつつあります。

 

 


卵子の質を考える

 

   質の良い卵子・悪い卵子  そして 精子を受精させた後に発生する”受精卵”においても質が存在します。

   受精卵の場合では、染色体異常(特に数的異常)のない卵です。 これは上記にあげた着床前診断でしかわかりません。

                                        (詳しくは、上記のブログを参照)

 

      卵子は減数分裂によって受精前に分裂を一時的にストップし、成熟卵(MⅡ)の段階で、精子の侵入を待ちます。

     そして精子が侵入した後に止めていた減数分裂を再開して卵子の形成を終えます。

 

           その為ここでは、最初に卵子の質を説明し、受精を終えた胚(=受精卵)の質を次に説明します。

   

   染色体の異常は、卵子や精子が造られる過程と受精の時におきます。そしてDNAの修復もまた行われます。

   それを踏まえながら、以下のイラストをご覧ください。

   

   

  〈2PN:正常受精〉

  受精確認で「正常受精」となるのは、Day1の2PN(前核が2つ)みえること。そしてそして上に極体が2個放出されていること。

  前核はPNと表現されます。

  

  〈0PN〉

  2つの前核(卵子経由と精子経由)の前核が融合して前核が消滅すると見えなくなるので、それが0PNです。(上記イラスト)

 

  この時に受精したのか?前核そのものが形成されなかったのか?わからない時は、

  採卵の翌日の受精確認(電話)の時に培養士に「まだわかりません」と言われる方もいると思います。

  そして翌日に持ち込まれます。(エンブリオスコープで前核の発生・融合・消滅を動画として追いかけている場合はわかります)

 

  〈3PN〉

  三倍体とも言います。

  受精時における「多前核」なので、分割時における「多核」とは区別して下さい。

   1)ふりかけ(=IVF)ならば、精子が2つ入ったりする他精子受精

   2)顕微受精(=ICSI)ならば、第2極体が排出できずに残って中に残ってしまった場合にも3PNになります。

          通常は、下の図のように第2極体が放出することによって中が2PNになります。

 

  1も2も、全ての染色体が2本あるのではなく3本ずつあるのを3PN(三倍体)といいます。

  (参考までに4倍体というものあります。受精後の第1回目の分割(後述)で全ての染色体が4本ずつあるもの。)

 

  

 

 

  上記のイラストは「採卵後」と「受精後」のイラストです。

 

  〈左の図〉

  採卵をして少し時間がたって成熟卵の確認がとれた状態。

  第1極体を放出しているのが成熟卵(MⅡ卵)の特徴です。

 

  〈右の図〉

  受精が確認されたの状態。

  特に、ポイントになるのが、第二極体の放出です。 これがみえると精子が侵入して卵活性化がおこなれた「印」です。

  

 

 

  〈その後の動き〉

  正常受精である2PN/2PDが見えた後に、

  2つの前核(2PN)が一つに融合して一つ(1PN)になり、そして消滅(0PN)して受精が完了します。

  新たなるDNAが生まれる瞬間になります。

 

  卵子も精子も減数分裂をして染色体が半分の状態で受精ステージにあがってくるので、あたらしい生命が生まれた時のDNAは

 

  もとの数に戻ります。

 

  〈減数分裂〉

  染色体はXのマークでイメージしている人が多いと思います。

  パパの46本とママの46本の染色体が最初にあり、これが受精して92本、孫の代になるとその倍の184本となってしまうと

  いけない為に、するのが減数分裂です。染色体の数を「神の青写真」に沿って半分にします。

  パパの23本 とママの23本の合計46本によって正常に戻すが受精です。

 

  その受精によって、あなたはこの世に「生」を受けて生まれてきました。

  その為、あなたの中には父由来の染色体と、母由来の染色体が共存しているのでご両親からみると宝です。

 

  そして、これらの2種類の染色体を使って、旦那さまと結婚してお子さんを作る時に卵子を長い眠りから覚めさせて

  排卵させる為に、次のような卵子の減数分裂をしてゆきます。

 

  


受精前の卵子の減数分裂の過程で生まれる異常

左図のようにとても複雑なことが行なわれています。

   Xマークが染色体です。

 

染色体を対合  :お見合い

    交差  :足をクロスする

    組み換え:足のパーツを入れ替える

 

 

 

  父由来:あなたのお父さん

  母由来:あなたのお母さん

  

 

 

 この作業(染色体の対合・交差・組み換え)がどこに

                                 あたるのか?下のイラストで見てゆきましょう。

 

                                 卵子の形成になります。

                                 排卵した卵子は、成熟卵(MⅡ卵)の状態

                                 卵子の形成を一時ストップさせます。

                                  (正確に言うと第二次減数分裂中期に第一極体を放出した

                                   状態で一時ストップします。)

 

                                 そして、あなたの旦那様の精子の侵入を待ってから

                                 受精ステージに行き、とめていた減数分裂を完了させて

                                 受精を完了させます。

          

                                 

                                 

  

       Q1:染色体の異常にはどのようなものあるか?

       

 

       複雑な減数分裂をさせてゆくメカニズムは、人を環境の変化に耐えうるものにする為ですが、上記のように複雑ですので

       ミスも当然起こります。 

 

       染色体の異常はおもに2つです

           

           ① 染色体の数の異常(異数性)

             まだ卵巣の中にいる卵子において

             「染色体の対合・交差・組み換え」の染色体の数の異常(異数性)になるミス

                    例)通常は組み換えが完了しても、染色体は2本のままですが

                    ◆数の異常により染色体が1本少ないと → モノソミー→着床すらしないのが大部分

                                             

                    ◆   〃   染色体が1本 多いと → トリソミー→多くが流産になってしまう。

                                            (化学流産や胚盤胞にならない等も)

 

           ② 染色体の構造的な異常

  

             まだ卵巣の中にいる卵子において

             「染色体の対合・交差・組み換え」の構造的なミス

                                     例)転座・逆位・欠失・重複など

 

        ☆ 年齢が高くなると卵子の老化により、上記①の染色体の数の異常が増えてゆきます。

          卵子を作る減数分裂の際に染色体の分配がうまくいかないので、数に間違いが起こってくる。

           〈理由〉 ・2つの染色体を結びつけておくタンパク質の劣化

                ・エネルギーをつくるミトコンドリアDNAの減少など

 

       Q2:染色体の異常は、いつ起こるのか?

 

          上記のイラストをみてもらいたいのですが

          染色体の異常は  ① 卵子(または精子)の減数分裂の過程中

                   ② 受精の時(卵子と精子のDNAが混じり合う時)

 

       Q3:染色体の異常は、どのように起こるのか?《重要》

 

          輪ゴムのように、この部分がゆるいと、1本多いトリソミーになったり1本少ないモノソミーになる

           染色体の数的異常(=aneuploidy)という 染色体の交換ミスも当然人間は起こりやすい。

          

          輪ゴムをイメージして欲しいのですが、2本の染色体の中央部分であるところを輪ゴムのように

          つないでいるのが「セントロメア」です。

 

                (短腕  長椀)    (短腕  長椀)

                     ↑_______________________↑

                                                                                                |

                                                                                     「セントロメア」

 

         減数数分裂時に「染色体の分配」がランダムに起こる訳ではないこと。

          実際に卵の側に残りやすい染色体と、残りにくい染色体がセントロメアの構築段階で起こることです。

 

 

           輪ゴムのように、この部分がゆるいと、1本多いトリソミーになったり1本少ないモノソミーになる

           染色体の数的異常(=aneuploidy)という 染色体の交換ミスも当然人間は起こりやすい。

 

           卵の減数分裂時の染色体分配で場合によっては相同染色体同士で競合が起こり得ることを示した研究では

           2018年11月3日号のScienceに掲載されました。

           そのタイトルは

           「Spindle asymmetry drives non-Mendelian chromosome segregation」

             (紡錘糸の非対称性が非メンデル性の染色体分離を引き起こす)」

 

 

           ヒトゲノムの約1~2%はセントロメア配列が占めていると考えられていますが今も未解明のままです。

           通常の染色体の交換スピードよりも、 イラストの「セントロメア部分」の交換スピードの方が全然早い。

           輪ゴムを締め直すには、そのスピード感の速さは絶対に必要です。

           

           そして何と何を交換するのか?というと

           実際に卵の側に残りやすい染色体と、残りにくい染色体がセントロメアの構築段階であるととうことが

           凄いことです。ランダムでは交換されないということです。

 

           このように

           減数数分裂時に「染色体の分配」がランダムに起こる訳ではないことに、人間の卵の不思議さがあります。

 

       

          ◆セントロメアとセントロメア結合

 

           セントロメアは染色体の中心だけでなく末端にも存在します。つまり年齢が高くなるに従って

           短くなってくる染色体の末端の部分「テロメア」(前述で説明済み)の部分にも・・

           セントロメア結合は存在します。だから細胞分裂によって短くなりががちな末端の「テロメア」の部分も

           もとの長さに戻りやすい訳であり、 ここでも通常の染色体の交換スピード感よりもずっと

           セントロメア結合部分は早い訳です。

 

 

          ◆染色体の中心(=セントロメア)と末端(=テロメア)における塩基の変異の発生頻度の差

 

           セントロメア(結合)は染色体の中心だけでなく、末端部分にも存在すると書きましたが

           中心に近いほど塩基の変異が有意に蓄積されやすいと言われています。

 

           構造のエラーよりも数的エラーの発生頻度の方が高い理由です。

 

 

 

 

 

       Q4:染色体異常(精子の場合と卵子の場合の比較)

 

                               

 

 精子は、受精する前の段階、精子が造られる過程において

 DNA修復機能が失ってしまう特殊性をもっている。

 そのかわり受精能力を持つことができる。

 

 卵子はDNAが損傷しても自己修復機能が働くのだけれど精子にはそれがなくなる。

 

 見た目の運動力が高い精子でも、DNAに異常がないという保証はしません。

 

 DNAが損傷した精子として卵子の中に入り受精した場合は、

 卵子が持っているDNA修復酵素によって

                      受精卵のDNA損傷の修復されたりするけれど持続性に欠け

                      不完全な修復のままだったり、修復されなかったりすることもある。  

 

 


良い卵子と悪い卵子(エイジング卵子)の違い

 

     下図は、受精卵ではなく未受精前の卵子です。

 

     先程、染色体異常は卵子の形成過程において発現すると話しましたが、 詳しくみてゆきましょう。

   良い卵子と悪い卵子(=エイジング・卵子)を

   成熟卵(MⅡ卵)のイラストで比較します。

 

〈第一極体が囲卵腔に放出されている〉

   成熟卵は見た目もしっかりわかり

   第一極体が「囲卵腔」に放出されています。

囲卵腔の広さ

   卵子が老化してくると、ここが広がってきます。

 

〈紡錘体〉

   顕微受精(ICSI)の際

   紡錘体などは間違って培養士がそこに精子を入れた

 

   針をさして壊さないように特殊な機械で確認しています。

   「紡錘体」が下記のように見えます。↓


【イラストの説明】

         悪い卵子と良い卵子の違いは、DNAの修復能力があるか否かですが

         見た目での区別も入れて 比較してゆきます。

 

         悪い卵子をエイジング卵子といいますが、卵子の糖化によるものも大きいです。

 

 

良い卵子


成熟卵なので囲卵腔に第1極体が放出されている。

極体が相互作用する状態で紡錘体からあまり離れて

いない。

 

 

硬直化していなく、網目上の糖鎖構造を持っている。

 

スペースが狭くなっている。

 

 

ATP(エネルギー)の産生力が低い

 

採卵:受精前の卵母細胞(卵子を直接包む)の

   ミトコンドリアDNAの量が多い

移植:移植胚の染色体が正常であっても、

   ミトコンドリアDNAも多いので

   着床しやすい。

 

成熟卵(=MⅡ卵)は高度に凝縮した染色体が

紡錘体”赤道上”にお見合いするように綺麗に並ぶ。

そして、相互作用の状態になっている。

 

分裂を繰り返してもテロメアの長さが元に戻る。

テロメアは糖化の弱いが、その耐久性がある。

 

 

 

 

上記のイラストの紡錘体のように

紡錘糸が両方の”極”で綺麗に束ねられて

コンパクトにまとまっている。

 

 

 

MPF↑つまり卵子の成熟を引き起こす因子が高い。

 

 

 

MAPK↑

酸化ストレスやサイトカインで活性される武器。

全身の細胞に広く発現し、対戦する機能を発現

できる。

 

ATP↑ ミトコンドリア活性が高い

 判断項目

 

 

 第一極体

 

 

 

 

 透明帯

 

 

 囲卵腔

 

 

 ミトコンドリア活性

 

 ミトコンドリアDNA

 の量

 

 

 

 

 染色体

 

 

 

 テロメア

 染色体の手足末端

 

 

 

 

紡錘体

 

 

 

 

MPF

(卵子成熟促進因子)

 

 

MAPK

(分裂促進活性化

たんばく質キナーゼ)

 

 

ATP

(アデノシン三リン酸)

 細胞のエネルギー源

 

悪い卵子


(エイジング卵子)

成熟卵があまり採れなくなるので囲卵腔に第1極体が放出されていない。(MⅠ卵、GV卵でも採卵後に

成熟しない場合もある)

 

 

膜自体が固く硬直化している。

 

 

スペースが広がってしまっている。

 

 

ATP(エネルギー)の産生力が高い

 

採卵:受精前の卵母細胞(卵子を直接包む)の

   ミトコンドリアDNAの量が少ない

移植:移植胚の染色体が正常であっても、

   ミトコンドリアDNAが少ないので

   着床しにくい。

 

成熟卵(=MⅡ卵)であっても

染色体分離をしていたり、散らばっている。

 

 

分裂を繰り返すと、テロメアの長さが元にもどり

にくく、短くなってしまってしまう。

 → 染色体の分離異常を引き起こしやすい。

テロメアは糖化の弱いが、その耐久性がない。

 

 

上記のイラストの紡錘体のように

形そのものが水平に伸びてしまっている。

 

 

 

MPF↓つまり卵子の成熟を引き起こす因子が低い。

 

 

 

MAPK↓

酸化ストレスやサイトカインで活性される武器。

全身の細胞に広く発現し、対戦する機能を発現

しにくい。

 

ATP↓ ミトコンドリア活性が低い

 



ミトコンドリアのATP産生と活性酸素の製造

父親由来の核DNA・母親由来の核DNAに対して・・ミトコンドリアDNAは何を働きかかけているのか?

初期胚の期間と3日目から胚盤胞になる期間のエネルギーは

違いますが、ミトコンドリアは、エネルギー(ATP)を作ります。

 

 ☑ 分割が止まってしまった

 

 ☑ 受精出来ない

 

 ☑ 胚盤胞にならない

 

 

 答えは、ミトコンドリアのマトリックス(黄緑部分)の

     クエン酸回路の中にあります。

 

 

「やみくもに、サプリをとらないって大事なのよね」

「排卵した卵子が、一気にミトコンドリアDNA数を落とすには

  理由があるのよ」

卵質の良い卵を採卵したいと考えた時に・・

 

「ミトコンドリア」を考える方は多いです。  イラストのようにミトコンドリアはDNAを持っています。

 

 採卵・受精した後に完成する胚(=受精卵)もその分裂の為のエネルギーは、ミトコンドリアから供給されます。

同時に、「クエン酸回路」からは活性酸素も製造している。

 

細胞死(アポトーシス)に導く時限爆弾のスイッチすらも管理

しているのがミトコンドリアDNA。

 

 ミトコンドリアが古代共生バクテリアの末裔として

今でも核と対等に渡り合い、予想を越えて、細胞の増殖にまで深く関わることが明らかにされています。

 

ミトコンドリアDNAは、核DNAはに細胞の増殖のサインを送り、また細胞死も司っています。

 

⇒ ミトコンドリアDNAは、

  核DNA(卵子経由のDNAや精子経由のDNA)を

  コントロールしている。

 

        ★  ★  ★

 

詳しくは、こちらをご覧下さい。

      ↑「細胞死(アポトーシス)を司るミトコンドリア」

 

 



排卵近辺は一番、染色体異常が多いのはなぜ?

 

     「採卵直前の卵胞の中・・想像できますか?」

 

      そこに・・排卵の特性が出ています。 

   

      排卵には適度の炎症が必要なのですが、

      その炎症プロセスで卵質を低下させる「活性酸素」が産生されています。

      

 

     詳細ページにてイラストで説明しますね。」

排卵の瞬間の卵子 
排卵の瞬間の卵子 

 

 排卵には、適度な炎症作用が必要です。

 

  大切なのは・・「適度な爆発」

 

 LHと炎症系のPG(プロスタグランディン)のパワーが必要。

 

 


排卵には二つの顔があります。

 

①卵胞の成長×卵子の成熟 

②炎症作用(プロスタグランディンとコルチゾールのツー・タッグによる適度な炎症)    この2面性が必要です。

 

治療中の方は、①の面ばかりをみており、②をあまり意識していません。

つまりLHと炎症作用がないと排卵はしません。炎症作用はOHSSや空胞、そして変性卵の理由を知る為には必要です

 

生理痛も炎症作用のプロスタグランディンが原因。それに対して抗炎症作用で「炎症」を抑えるのがコルチゾール。

 

両者にはメリットもあれば、デメリットもあります。

前者はPG産生過程において、「活性酸素」を産出し、後者は「血糖値」を上昇させてしまう弱点もあるのですが、

人が生きる為に必要だからこの世に存在しています。

 

 ★ 詳しくは・・こちらをご覧下さい。

          ↑ CLICK 「排卵には二つの顔がある。適度な炎症系」

 

 


エピ・ジェネティクス

                                                         epi-genetics

 

これは難しい話ではないです。 

理由は二つあります

 

  ① 遺伝子をONとOFFするエピ・ジェネティクスは、胚(=受精卵)発生の間に定着すること。

 

  ② 最近、環境ホルモンなのどの環境因子がエビ・ゲノムを変化させて、それが記憶されてしまうこと。

 

①は体外受精をする方には培養の問題と絡んでくるので興味があることと思います。 また

 

②は卵質を落とす環境ホルモンから妊娠前はもちろん、赤ちゃんを守る為には必要なことになります。

 

  もっと身近なところでは、クラスロマイシンなどさまざまな抗生物質が効かなくなるということでしょうか?

可愛い赤ちゃんは一つの受精卵から発生し、その後の器官ごとに異なった細胞に分化してしてゆく万能細胞です。

 

これは、DNAは同じでも働く遺伝子と休む遺伝子(遺伝子のON/OFFをする)があるためにおこり、

これを上手に調節しているのがエピゲノム(遺伝子外)修飾です。

  前述したように、最近、環境因子がエピ・ゲノムを変化させて、それが記憶されることが叫ばれています。

 

DNAの配列変化によらない、遺伝子発現を制御・伝達するシステムを「エピ・ジェネティクス」といいます。

エピとは、「上の」と言う意味であり、ジェネティクスとは「遺伝子」という意味です。

 

その為に、DNAの糸巻きのような「ヒストン」の上に 妖精のようなものがいて、その子が、大作業でその糸巻きを全部ほぐすことなく

臨機応変に、スイッチを器用にONとOFFを入れ替えてDNAの転写でタンパク質を作ってゆくことをコントロールしています。

 

絵で書くと・・こんなイメージです。 DNAがヒストンに巻き付いているのが分かると思います。

 

DNAである糸を巻き付けた糸巻きが「ヒストン」

エピ・ゲノム修飾の”妖精"

 

トリクロサンとか環境ホルモンは、この妖精の仕事である

ONとOFFの切り替えを間違わせてしまうのです。

 それが遺伝してゆく可能性があるから怖いのです。

 

母から子へ、そしてあるいは祖母から孫へ・・


① 遺伝子をONとOFFするエピ・ジェネティクスは、胚(=受精卵)発生の間に定着すること。

 

   PGT-A、NGS(着床前診断)をされている方いらっしゃると思いますので、少し細いこと!でも大切なこと!なので書きますね

    この絵の中にはDNAのこととだけが書かれていますが、RNAが重要になります。

    RNAは遺伝子発現システムを制御しているからです。 

 

    エピ・ジェネティクス・・この小人の物語は、ヒストンという糸巻きにまきついた「クロマチン」がギューと凝縮している

    上にこのミドリ色の小人が乗っており、球をほどかずに・・つまり、DNAを変化させずに遺伝子発現をRNAを通して

    変化させてしまうのです。

 

   スイッチをON・OFFする特別な仕事をします。

 

   遺伝発現されたそれらの同じ遺伝子を持っていても、どのような命令(プログラミング)をこの小人がするかによって

   細胞が変化してゆく主導権を持っているのです。 だから私は妖精と書きました。

   良くもはたらけば、 へそを曲げると悪くも働くから妖精というニュアンスが伝わったら嬉しいです。

 

   受精・胚分割が始まったばかりの時は、カラダ中のどの細胞にもなれる未分化な細胞の時は

   まだそれほどの「小人たち(=エピジェネティクス・マーク)」はいないのです。

 

   体外では培養中に、自然妊娠では卵管での胚分割中に2細胞・4細胞・8細胞と分割を開始し

   周辺細胞からの信号や情報を受けた時期に、小人たちは蓄積を始め、遺伝子をON・OFFし始めます。

 

   それは、小人がプログラミングの入ったUSBメモリーを、糸巻きのついたメモリー差し込み口にポン♪と入れて

   遺伝子の発現をON・OFFしてきます。

 

 

② 最近、環境ホルモンなのどの環境因子がエビ・ゲノムを変化させて、それが記憶されてしまうこと。

 

   卵質を落とす環境ホルモンから妊娠前はもちろん、赤ちゃんを守る為には必要なことになります。

   世代を越えて遺伝されてゆくというリスクがあるから、環境ホルモンなどの環境因子は怖いのです。

 

   環境ホルモンは、リピングや玄関はもろろん、冷蔵庫の食材にもリスクがあるものとないものがあるので

   しっかりと基礎知識をもち、これから生まれてくる子はもちろん、採卵前から気を配っておくべきだと思います。

   詳しくはこちらに!

        ↑ 「卵質を低下させない為に・・」

        

卵質を落とさない工夫とは?

PGT-A、NGS、卵質を低下させない為に 
 ↑ アイコンにリンクあり

 

卵質をあげたい方は多いです。

卵質は刺激方法や培養環境にも大きく左右されますし・・

染色体異常の卵を出来るだけ排除したいというPGTーA(着床前診断)の考えも、よく理解できます。

 

抗生物質が効かないものがあるなど体験された方も中にはいるでしょう。

環境ホルモンとも絡んでいます。

     

 

卵質を上げる為に「引き算」を実施してはどうでしょうか?!

卵質を確実にさげる生活環境・食生活を回避することからSTARTしてゆくこと。

 

卵質を下げない為の知識《サイエンス》

      ↑ CLICKで当該ページへ

 


誘発方法・培養方法で正常胚の獲得率は変わる

 

 

 正倍数の染色体(染色体が1本すくないとか1本多いという染色体の数的異常のないもの)は、クリニックの誘発方法や

 培養環境で変化します。誘発方法でガラッと変わります。

 良好胚(見た目のグレード判断)ではなく正常胚(PGT-Aをかけたもの)で判断すると良くわかります。

 詳しくはこちら

     ↑ 「卵質を下げない為の知識《サイエンス》

 

 その為に、クリニックの選択は本当に大事になります。

 日本は海外のようにPGT-Aがルーティンになっている国ではないので そこはブラックボックスでわかりにくいと思いますが

 誘発方法や培養法を変える為に、転院をするというのは変化があるかも知れません。

 

 ただし! 最先端の医療が、必ずしも患者さん自身のカラダに「最適である」という保証はないので

 しっかりと主治医の先生と話をすることが大事です。

 

 オーソドックスな方法が一番あっていたとか?外で培養するより中(体内)で育てた方が結果的には姙娠できたとかあり得るからです

 その判断が難しいから、体外受精は悩ましいとも言えます。 


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