排卵に必要な炎症作用

排卵の瞬間 あとから顆粒膜細胞が卵胞壁から剥がれやってくる
排卵の瞬間

 

 排卵には、適度な炎症作用が必要です。

 

  大切なのは・・「適度な爆発」

 

 LHと炎症系のPG(プロスタグランディン)のパワーが必要。

 

 


  体外受精をする前は、卵胞の成長しか見えないし、はじめて体外受精をした時も期待で次のように思っていても不思議ではないです。

 

  チェック・リスト

 

☑ 卵胞が大きく育ったら、排卵するものだと思っている.。                                                                                    YES/ NO

 

 

☑ 卵胞が大きく育ったら、中にある卵子は成熟して排卵するものだと思っている 。                                                 YES/ NO

 

☑ 排卵した卵子は、全て受精にする能力を全部もっているものだと思っている。  (卵子サイドの問題)           YES/ NO

 

☑ 排卵に必要なのは・・LHサージだけである。                              YES/ NO

 

   残念ですが・・これらは全てが間違いです。

 

   

 

 

 


排卵は火(=炎症作用)のバランスが命

 

 

       炎症を促進するもの

 

     プロスタグンディン(=PG)

 

 

   炎症を抑制するもの

 

     コルチゾール

  

    副腎皮質ホルモンの一つ


 

   体外受精や人工受精をしていると・・上記の円イラストのように

  卵胞の大きさとE2の伸びくらいしか目に映らなくなるのも仕方ないと思います。

 

 卵胞の成長にフォーカスされます。 卵胞の中に育つ「卵子の成熟」は体外受精で「採卵」をした人でないとピンと来ないと思います

 

 排卵には二つの顔があります。 

 

 採卵で空胞や変性卵という悩ましい結果を体験した方でないと「炎症反応」の大切さはピンと来ないでしょう。

 また、卵巣が腫れてOHSSになってしまい誘発が怖くなってしまった人も炎症反応の直視するでしょう。

 

 排卵には、絶対に炎症反応が必要で、問題は、その炎症反応を促進するチカラと抑制するチカラのパワーバランスが大事です。

 

 ちょうど良い火加減(=炎症作用)が排卵という爆発には必要なのです。

 

 

 

  左の半球

        卵胞の成長 × 卵子の成熟

           この部分だけ考えているだけでは、片手落ちになり排卵は起こらない。

           卵巣の表面を突き破る為には、LHサージだけ破れない。

           排卵前に採卵するにしても、卵胞壁から卵子の塊を切り離すのは、LHサージでは実現できない。

      

 

  右の半球

        炎症反応

 

            つまり・・ 上記の2点をクリアする為には、花火のような「炎症反応」が適度にいる。

 

             A)炎症の原因そのものと                → PG(プロスタグランディン)

             B)その炎症を抑える「火消し役」            → コルチゾール

                                            (副腎皮質ホルモン)

 

             このA)とB)のパワーバランスで、排卵に必要な適度な炎症を得ることができます。

 

             副腎をしっかりと整えるこは本当に大事です。


花火は火薬のバランスが命

 

 

 

火薬の成分と分量が命の・・・花火。    

 

 江戸時代の花火が危険で、現代の花火が安全で事故が一切ないと保証はどこにもない。

 

 腕のいい花火職人・・・は、副腎に似ています。

 

 

 

 

【花火】

 

弱い爆発だと花火は、夜空まで打ち上げられない。

 

弱すぎると殻を割らずに中が飛び出さず、夜空に打ち上げるものごとが内側の壁から剥がれずにそのまま爆発してしまう。

 

逆に・・・

 

強い爆発すぎると、空中まで高く飛ばない。 

 

夜空の空中まで色とりどりの玉を運ぶのが花火。

 

空中でまで運ばれて・・そえぞれが爆発するタイミングも計算されている。

 

強すぎず、弱すぎず。

 

最新の工学を使った宇宙に行くロケットの仕組みも、花火と同じ。 そして・・・排卵も・

 

 


炎症そのものと、抗炎症作用を持つ火消しの存在

      プロスタグランディン( =PG)と コルチゾールで 排卵に必要な「火加減」を決める。

 

 

      炎症系のキーマン

 

     プロスタグランディン

       (別名:PG)


炎症そのもの


◎素敵な長所

 

  炎症が必要だから火をつける。

  卵胞の中で成熟した卵子の塊(COC)

  を卵胞壁から分離させる。

 

  この爆発力がないと卵子は

  細胞壁から離れずに

  変性卵や空胞になってしまう。

  


☓ 都合の悪い短所


 

  プロスタグランディン(PG)の

  産生過程中に・・

 

  「活性酸素」も生んでしまう。

 

 

     つまり

  過度な炎症は卵質に悪影響

 

  染色体異常(数的エラー)が出やすい

  排卵前の大切なタイミングで

 

  よりによって染色体異常の原因と

  なる活性酸素を作り出してしまう。

 

 

  ※具体的にはミトコンドリアが

   ATP(エネルギー)を作る過程で

   活性酸素も作る。

 

  


身近な不都合

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)

 

  PCOやPCOSの人などは・・卵胞が

  育たないからと射を多く使うと

  卵巣が3~4倍にまで腫れ上がり

       腹水が溜まったり肺に水が溜まったり

  血流が濃縮する傾向になる場合も。

 

  PGが過剰に産生されて、その作用で

  血清成分が卵胞の中に漏れ出し

  多数の卵胞の中の中に、その血清成分

  がたまり卵巣を大きくする。同時に

  黄体血流を促す血管新生・血流増加も

  VEGF(血管内皮増殖因子)が原因。

 

 

LUF(黄体化未破裂卵胞)

 

  卵胞に表面が破裂しないと当然

  卵子を抱えたまま高温期を迎えます。

  中には次の生理まで居る場合も。

 

  卵胞壁の破裂に関わる炎症作用が

  不具合を生じると未破裂になります。

  これも炎症物質のPGの不都合。

 

 

 

 

空胞

  採卵で卵胞壁がうまく破裂して

  卵胞液の中に卵の塊(=COC)が

  浮游していないと吸引しても

  吸いきれずに残ってしまいます。

 

 

 

 

生理痛

  これもPGによる炎症です。

  生理痛を抑える為に鎮痛剤

  (ロキソニン等)を飲むのは

  PGの産生を抑えたいからです。

    → 薬による「火消し」

  

VS

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     排卵に必要

    →   適度な炎症 ←

    強すぎる、弱すぎず・・

 抗炎症系のキーマン

 

  コルチゾール

  (別名:硬質コルチコイド)


火消し役


◎素敵な長所

 

 排卵の前は、コルチゾール濃度がMAX

 になり

 炎症しすぎた

 プロスタグランディン(PG)を抑制し

 抗炎症作用を持つ。

 

 

 


☓ 都合の悪い短所


 

  エネルギーの糖を供給する

  つまり「糖新生」

 

  血糖をあげてしまう。

  もともとは、餓死等で死なぬように

  生命を守る為にも存在している。

 

 

        ⇅ ベネフィット相反

 

  血糖コントロール。

  卵子の糖化をさけたいことと

  相反することになります。

 

     〈卵質低下の問題〉

 


産生場所

コルチゾールは・・

 

 副腎から分泌される

 性ステロイドホルモン。

 

 生命維持装置の働きを持ちます。

 脂質つまりコレステロールから生まれて

 P4(黄体ホルモン)から代謝されます。

 

 日内リズム(朝に血中濃度が高くなる)

 とストレスの二つによって・・

 影響を受けます。

 

 副腎疲労は、睡眠と心のエネルギーと

 密接に絡み合っています。

 


副腎疲労の鍵

心因性の高い副腎疲労は、同じ副腎から分泌されるDHEAと違って、足りないから足すという訳にはいかないです。

 

 ・睡眠と心の穏やかさの大事です。

 

副腎疲労の治りやすい方と治りにくい方が

いますが、治りにくい方は、ストレスが継続しているので、心のエネルギー不足の

サインを自分で見落とさないこと。

 

★ 人のちょっとした一言が気になる

★ 治療をしている自分の嫌な面が

  露骨になる

★ 異常な落ち込み

 

不妊治療など長期のストレスに晒される

場合は、他人の目や意見よりも自分ファーストで心を満たすこと。

 

治療でも他人がやってよかった事が

自分にはそのまま当てはまらないと

割り切ることが大事です。



空胞になる・ならないの境界線

 

   ここにも・・ PGとプロスタグランディンのよって・・排卵に必要な最適な炎症の火加減が生きてきます。

  採卵前の卵胞液の中・・

 

  

  LHサージを受けた卵胞は、

   1)卵子の成熟に必要な軽い炎症を起こすPG(=プロスタグラィン)も卵胞液に分泌され、血中濃度が上昇

     血流量はピークを迎えている頃です。 

 

   2 PGがヒートアップしないように抗炎症作用を持つ火消し役の「コルチゾール」も血中濃度が上昇。

   

    二人の役者は揃い・・必要な爆発(炎症)に火をコントールをするドラマがあります。

 

 

 

 

  この血管が多くなり、血管浸透性の亢進で卵胞液が増殖し、卵胞は急激に増大を迎えた後の採卵日当日。

 

  卵胞壁が薄くなり、剥がれやすくなり・・

  卵胞液中に、卵子の塊が剥がれやすい顆粒膜細胞に包まれて、プカプカと浮游しています。

  そこに採卵針が入ってきます。

 

 

 

 

 


適度な炎症で卵胞壁から剥がれ切ってますか?

  

  上記イラストのように 卵胞が剥がやすくなる為には、卵胞壁が薄くならなくてはなりません。

 

  PGとコルチゾールの駆け引きがそこにあります。 うまくゆくと、空胞や変性卵をさけることが出来ます。

 

  

  そして、 この爆発には 卵巣が腫れるというリスクもあります。

  その為に、早期に排卵しない為または、炎症を抑える為に・・ボルタレン等が出された状態で採卵する訳です。

 

  

 

 

     空胞や変性卵をさける為の、自然のメカニズムがあります。

     採卵の吸引コントロール(ゆっくり吸う)とか採卵針の太さを工夫するという以前の大切な問題になります。

 

     以上のように「排卵には必要な炎症がある」というお話でした。

 

    

     次は、炎症が大きすぎた場合(PG優位)のケースをOHSSで説明します。

 

 


OHSS(卵巣過剰刺激症候群)とPG(プロスタグラディン)

重篤なOHSS
重篤なOHSS

   炎症作用のあるPG(プロスタグランディン)が過剰に産生されて、

  その作用で血清成分が卵胞の中に漏れ出し多数の卵胞の中の中に、その血清成分がたまり卵巣を大きくします。

 

   同時に黄体血流を促す血管新生・血流増加。OHSSの原因はVEGF(血管内皮増殖因子が大きく影響しています。

 

  血流は VEGF(=血管内皮増殖因子)によって血管毛細血管の拡張や、血液の通過亢進をしている最中。

 

 

  採卵で卵巣が少し腫れて大きくなるのは、このVEGFの為ですが、血流があがらないと卵胞は大きくならないです。

  悩ましいのは、OHSSを引き起こす原因になるのも、このVEGFです。

 

  イラストでは、重篤のケースで・・腹水がたまり、胸水まで上昇している状態です。

  これは高刺激が悪いとかいう話ではなくて・絶対に低刺激が安全とかいう話でもなく

  刺激には本人によって体質がある為に、体質にあったやり方が大切という話です。 【薬剤の感受性の問題】

 

 

     ※ VEGF =血管新生(すでにある血管から分枝伸長して血管を新しく形成すること)に関与する一群の糖タンパク。

            vascular endothelial growth factor = VEGF

 

 

 

  

 

 

 

  リスクは卵巣腫れるのが大きいことから始まり、

  腹水&胸水・・ そして血尿  そして「血液濃縮」を経て一番重篤な「血栓症」になるOHSSのリスクがあります。

  

 

  イラストは、一例でhMG/ hCG法の排卵誘発で紹介しましたが、感受性が高い方は、クロミッドでさえも反応します。

  トリガー(排卵促進)には、シングルトリガー(スプレキュア等の点鼻薬 /  hCG等の筋注)があり

           また・・ダブル・トリガー(上記のWの併用)がありますが、主治医の先生と体質を話すことが大事です。

 

  またリスクを必要以上に心配しすぎて、一番大切な治療時間のロスを生んでしまう人も中にはいらっしゃるので・・

  しっかりと話すことが大事になります。