このページは、「FSH / E2ホルモン基準値Ⅰ」の続編になります。
↑ まだご覧になっていない方はこちら。
☑ FSHが高くて、閉経が近いのではないだろうか?
☑ FSHが高い原因は何?
☑ FSHが高いから、改善策を知りたい。
☑ FSHが高いから、上手く卵胞が成長しない。
☑ 卵質を向上させたい。AMHが低い、またはAMHが高い(PCO、PCOS)
☑ 早期閉経(POI)が心配
これらはプロセスであり、本質はなにかというと、良い卵子を得ること。そして それに見合う子宮環境を作ること。
その為には、 老化の本当の意味を知らないといけない。
老化の特徴として 次の3つ挙げられます。
1)卵胞の顆粒膜細胞(イラストのBLUEの膜)が硬くそして厚くなる。
卵胞の成長スピードと卵子の成長スピードが揃っていないと、莢膜細胞でLHホルモンをキャッチして
男性ホルモン(アンドロゲン 具体的にはテストステロン)が作られても
うまくE2に変換できない。(E2を産生すのはYELLOWの顆粒膜細胞です)
2)卵子(イラストのRED)の細胞膜も硬い、そして中の細胞質も柔軟性にかける。
3)卵巣自体が、硬くなること
男性ホルモン(アンドロゲン)優位の卵胞から、卵巣自体も組織の線維化によって表面が硬くなります。
根本的な卵子の老化の問題です。男性の問題もあります。
卵巣の中で、卵胞の成長スピードと卵子の成長スピードがリンクしていなければなりません。
卵管采から排卵した卵の集合体が取り込まれて、卵管の先で正常受精が行われて
適正な成長スピードの中で、胚(=受精卵)に必要な栄養素が卵の個性の合わせて供給されなければなりません。
着床。 胚の成長スピードと子宮内膜の成長スピードが、シンクロ(=同期)をして着床の窓(=WOI)と合って
妊娠ホルモン「P4」のチカラで子宮内膜の中に浸潤していくことがメカニズムです。
E2とP4のハーモニーがそれを実現させます。
★ ★ ★ ★
キーワードは、着床は、卵胞がまだ卵子を抱えている頃から、卵胞の中に分泌される「P4」の水面下の動きです。
1)FSHとLHのハーモニー
2)E2が、LHの上昇を通じて卵子の成熟に働きかけて、水面下の「P4」と卵巣の中でハーモニーを奏でる。
その時、強い卵は、着床の窓をすこしズレたとしても、着床ゆきます。
着床の窓を合わせるだけでは、妊娠はしない。
ズレた時に臨機応変に対応できて、 DNAの修復能力が十分になる卵が、
「着床までの道行き(みちゆき)」で、GOALに辿りつきます。
内因性のLHが上昇するタイミングを意識する!
FSHはコントールしやすいが、LHは難しいからです。排卵抑制をかけすぎると・・回復が難しい
FSHが高い!またはFSHが低い!その対策をしたいという方は非常に多いと思います。
排卵誘発のプロコトルにおいては
FSHとLHのバランスが大事になります。この2つは同時に見ないとならないです。
D3のFSHとLHのバランスがよくても、その後 D8そしてD12で どうそのバランスをコントロールしていくか?が
良い採卵をするしないを決めます。
妊娠ホルモンと呼ばれるP4をどのタイミングで誘導してゆくか?(卵胞期の卵胞内の機能的黄体化)が一番大事に
なります。
まだ、排卵しないうちに・・黄体を刺激する黄体刺激ホルモン(LH)の立ち上がり具合が鍵。
そのような抜本的な記事になります。
卵質は刺激方法や培養によって変わる現実があります。
E2によるFSHへの負のFeedback不良の方たちが、LH受容体の発現に苦労しています。
HMG製剤やFSH製剤のタイミングに、LH受容体の発現のタイミングがついてこないから
高齢妊活者の個人個人にあったプロコトルのセッティングが難しいのです。
以下はDay3の基準値(FSH、LH、E2、P4、PRL、AMH)になります。
生理中の数値は、卵巣の反応をみる為の基礎値になります。
どのホルモンが、どのホルモンを抑制するのか?それとも促進するのか?ざっくりと知っているといいです。
FSH(卵胞刺激ホルモン) Day3 基準値:3.5~12.5mIU/ml
「卵胞を育てるアクセルの働き」をする。
FSHは、脳の「下垂体」から分泌されるホルモンであり、卵胞を大きくしてゆく作用があります。
月経中のFSH値から卵巣の予備能がある程度は推測できます。
基準値を超えている場合は卵巣が大きくならない為に、更に大きく使用と分泌過剰になっていることから、「卵巣機能」が低下している
と考えられます。 以下のLHとのバランスが大切であり、LHを1とするとFSHが2倍以下になっていると良いです。
LH(黄体化ホルモン) D3基準値:1.5~8.0mIU/ml
LHは、脳の下垂体からFSHと同様に分泌されるホルモンであり、2つのホルモンのバランスが大事です(上述)
LHは、排卵を起すホルモンです。黄体形成ホルモンと呼ばれるのは、LHとP4(黄体ホルモン)の密接な関係があるからです。
LHが上昇すると、排卵が近づいていることを意味します。噴水のような動きをします。
皆様が排卵前に使う排卵検査薬では、尿中のLHの上昇(=LHサージの度合い)を見ています。
排卵が近づいているだけではなく、卵子が成熟しつつあるか?を示すバロメーターの一つにもなります。
また、FSHと協力して排卵直前の卵胞の成長にも、深く関与しています。
E2(エストラジオール、卵胞ホルモン) D3基準値:20~85pg/mL
E2がエストゲンとも言われるのは、エストロゲンはE1、E2、E3と3タイプあります。
その中で、卵胞を育てるのには一番パワーがあるのがE2です。
卵胞の発育以外には、子宮内膜を厚くしたり、おりもの(頚管粘液)を増やしたりする作用もあります。
全身を駆け巡る皮膚や髪の毛に潤いを与えたりと若かしさを維持するホルモンの為に、「美のホルモン」とも呼ばれます。
卵胞が育つと卵胞の中にE2が分泌されてゆくので、E2の値が高くなります。※E2の高さには個人差があります。
卵胞の成長をE2の上がり具合から自分の排卵の癖を掴む必要性があるのはこのたためです。
排卵直前は、卵胞@一個@付きE2が約250程度になりますが、AMHが低い方だとその高さのE2では卵子は成長しないので
もっと高いE2値を要する人も多いです。
生理周期でのE2のピークは、2つあり、
最初の「山」は排卵の前にLHサージ(排卵の引き金をひく)きっかけをつくります。
排卵後は、その「山」は過ぎて、E2カーブは落ちてゆきます。
そして、着床に向かって「第2の山」に向かいます。着床する為の子宮内膜を厚くする働きがあります。
しかし、その厚さを維持する為にはE2単独では力不足であり、子宮内膜を維持する為のP4との共同作業が必要です。
P4(プロゲステロン) D3基準値:0.92pg/mL以下
(普通は生理中は、P4は1.0pg/mL以下となります。)
P4は、黄体ホルモン、別名「妊娠ホルモン」と呼ばれます。
着床をしやすく内膜の環境を整えるホルモンです。
排卵前から少しずつ上々して高くなり、排卵後に卵胞が卵子を排卵して「黄体」になった後から本格的にP4を分泌します。
高温期で、子宮内膜の厚さを維持する必要なホルモンです。
P4には排卵を抑制するチカラがあったり、着床期に子宮内膜を脱落膜にかえて、大切に育ててきた受精卵をお迎えします。
※P4による排卵抑制はFSHとLHに対して抑制することを示す。
「脱落膜」というのは、出産する時に胎盤がお母さんのカラダから出てきますが、9ヶ月もの長い間にわたって赤ちゃんとのやり取りを
する膜です。その胎盤の形成準備が、着床期の子宮内膜に少し始まっていることを意味します。だから「脱落膜化」にトリガーに
なるのはP4になります。
PRL(プロラクチン、乳汁分泌ホルモン)基準値:4.9~29.3mIU/ml
脳の下垂体から分泌されるホルモです。
本来は産後分泌され、赤ちゃんの為に母乳を出させるホルモンです。その為に産後はまだ妊娠しないように母乳がでます。
PRLが高いと不妊症の原因(無排卵・無月経・黄体機能不全)につながりますのは、そうした理由からです。
また、卵胞を育てるには、PRLの適度な高さが必要にもなります。
PRLが高すぎる場合は、内服薬で適正値まで落とす場合もありますが、落としすぎると卵が育ち難くなります。
《参考》 PRLはTSH(甲状腺刺激ホルモン)と連動していることも覚えていて下さい。
TSHは妊娠したら誰でも高くなり7Wあたりに自然と落ちてくるホルモンです。
PRLもTSHも妊娠したら高くなるということは、妊娠する前にそれが高いとあまり良くはないわけです。
AMHは、かなりばらつきがあります。
AMHは、卵子の在庫と呼ぶにはかなり無理があります。
卵胞の供給量であり、そして卵胞の発育に関して
FSHが卵胞の成長に対して促進(+)に対して
AMHは、抑制(ー)に働くブレーキの働きをします。
E2はAMHに対して抑制(ー)に働きます。
その為、AMH値は、排卵誘発をする際に大切の指標。
そして卵巣の予備能を知る一つの物差しです。
詳しくは、「AMHの秘密」に絵を使って説明しています
↑当該ページへ
年齢が高い方でもAMHが高い方もいます。
生理中に見える小卵胞の数(=AFC)とAMHは
正の相関があります。
これは、卵胞の中の顆粒膜細胞(BLUE)で、男性ホルモン(T:テストステロン)が
CYP19A1(=アロマターゼ)によって
女性ホルモン(E2:エストラジオール)変換される図です。
(2セル2ゴナドトロピン・セオリー)
難解な話ではなく、すごくシンプルなメカニズムです。
2セル(莢膜細胞と顆粒膜細胞)と
2ゴナドトロピン(FSHとLHのホルモン)の話。
顆粒膜細胞(=GC, Granulosa cell)からFSHやAMHホルモンの分泌されます。
一方、莢膜細胞ではE2産生の材料となる男性ホルモンであるT(=テストステロン)が産生されて、それが顆粒膜細胞が移行して
E2が産生されてゆくいうメカニズムです。
《POINT》
・FSHは、卵胞の成長を促す= E2を促進する。
・AMHは、FSHを抑制する
・E2はAMHを抑制する
・この絵に出ていないが顆粒膜細胞を覆っている莢膜細胞(下の図)ではLHの作用によってE2の材料となるTが産生される。
卵胞期※ 排卵期 黄体期
_____ _____ _____
低温期 高温期
※卵胞期には
「前期」と「後期」があります。
前期はE2による(FSHへの)正のフィードバックがかかり、 : E2↑⇒FSH↑(卵を育てたい)
後期はE2による(FSHへの)負のフィードバックがかかります。 : E2↑⇒FSH↓(卵を絞りたい)
また、後期にはP4による(LHへの)負のフィードバックもかかります
: P4↑⇒LHの上昇を止めたい
この卵胞の絵の中に、4つのホルモンが描かれています。
FSHやLHが卵胞を育てて、中にある赤い卵子を成熟させる為に、上げ下げされながら卵胞の中にE2やP4が分泌され
採卵の時までに、黒い●の部分が厚くなり、卵子が成熟します。
卵胞期の前期・後期において、うまく4つのホルモンが噛み合わないと卵子は成熟しないのです。
※YELLOWの細胞=莢膜細胞
GREENの細胞=顆粒膜細胞
P4の排卵抑制(FSH↓ LH↓)のイメージは、妊娠中のP4の上昇をみてもわかると思います。
妊娠していない時の高温期のP4は10~15程度ですが、妊娠時は200~300pg/mLにも上昇します。
したがって、P4の排卵抑制は、セトロタイドのようにグっと効く訳ではないです。
皆様が車の教習所で習った「ポンピング・ブレーキ」のようにポン!ポン!とパルス状に排卵ブレーキが
高温期から育とうとする卵胞にブレーキをかけます。
高齢の妊活患者さんが、すごく苦手にしているメカニズムです。
それが・・E2とP4による負のフィードバックです。
卵胞は、まるで螺旋階段をあがるように、D3からD8へ卵胞を大きくさせ
D8からD12(採卵前のトリガー日)で卵子を成熟させて
D14あたりの採卵に向かうのです。
螺旋階段は、個人個人違い、薬の反応も違います。だから自分の排卵のクセ等を
しらないといけない訳です。
下の部位から、上位の部位へ
水道の蛇口を締めるように
働きかけることが・・
「負」のフィード・バック
1)D8~D12 (卵胞期・後期)
下がるべきFSHのカーブが上昇してしまい 卵胞が育たなくなることを回避したい。
これは自然周期で卵が1個まで絞られるための卵胞選択です。
※ 排卵誘発剤使用の際とは動きが違うので注意して下さい。
2)D3のFSH上昇
これは卵が育たないから、FSHのシャワーが過剰に流れてDAY3で高いFSHになります。
卵が育つコントロール感が弱くなります。
※ここは様々な手段をつかってコントロールできるので、
過剰に心配しないで主治医の先生と相談してください。
※ キーワードは、その前の高温期になります。
1)D8ーD12(卵胞期・後期)での卵胞の成熟と卵胞のフェードアウトコントロール
LHが上昇モードになりがちな高齢患者さんの卵巣反応において
LHを分泌をP4が抑え込み・・卵胞の細胞死(卵胞が消えてゆくこと)をブロックする。
排卵にむけてLHが上がりがちなので、P4が負のフィードバックで抑え込んでゆくのです
この時、まだP4は数値では現れないので、P4が水面下で動きます。(機能的黄体化)
同時に、P4がLHと協力しあって卵子を成熟させていきます。
2)高温期から卵胞が育ってくるのを食い止める働き
これは妊娠をしなかった時のP4の動きになります。妊娠したらそのまま数値は上昇。
妊娠しなかった時は、次の生理に向けて良いスタートができるように
排卵期だろうが、高温期だろうが、スキあらば大きくなってやろうと思っている
卵胞に対して、P4が成長サイクルに入るのを頭からブレーキをかけるのです。
P4が上昇して、卵胞が育たないように排卵抑制のブレーキをかけるですね。
⇒生理周期と卵胞の成長サイクルを一致させる。
年齢が高くなると、このP4によるブレーキが甘くなる周期が出てくるので
遺残卵胞や、D3にいきなり採卵できるような卵胞が現れたりします。
カーブの●はそれぞれのホルモンのピーク(=頂点)です。
E2は、卵胞期に山が一つあり、その山を超えたところで排卵になります。
それから、着床期(だいたい分泌期)に二回目の山ががあります。
子宮内膜の増殖期(=卵胞期・後期)から内膜が少しずつ厚くなるのと平行して
P4が少し上昇してきます(上のパープルの矢印)は、卵子とのその回りの細胞を厚くして
卵子を成熟させる為にP4は卵胞の中に少し分泌されます。まだ卵子があるのですが
とても重要な働きです。
LHは名前のとおり、黄体形成ホルモンと呼ばれるようにP4と直接的にリンクしています。
LHは排卵を少しでも早くさせる為に、排卵モードになります。P4はそれを制御します。
上のグラフ(D8ーD12)でLHがかろうじて水平になっています。我慢してます。
E2は、P4と対象的な動きをします。
分泌組織・ 排卵・子宮収縮の3項目にわけて「表」でみてみましょう。
ホルモン名 | 分泌する場所 | 排卵 | 子宮収縮 |
E2 | 卵胞(卵胞の顆粒膜細胞) | (+)排卵の促進 | (+)子宮収縮の促進 |
P4 |
黄体(卵胞の黄体化した顆粒膜細胞) |
(ー)排卵の抑制 | (ー)子宮収縮の抑制 |
ホルモンの動きで詳細を知りたい方は、こちら(卵巣機能)で詳しく説明しています。
ここでは、E2だけにポイントを絞って話します。
day3, day8, day12と 3回 E2の採血と卵胞の大きさを測ったとします。日数を追う毎にE2の値も、卵胞も大きくなっていると
思いますが、それを踏まえて以下を考えてみてください。
【E2の排卵の促進について】
1)day3(E2はまだ低濃度)、day8(E2はすこしあがり中濃度)
この時のE2は、LH、FHSの分泌を抑制↓して排卵をしないように働きます。
(E2の負のフィードバック作用LH↓、FSH↓)
→ 上記のイラストでは生理後半から排卵前のLHサージまでFSHのカーブが落ちてゆきます。
卵胞選別(排卵する卵胞が1個に絞られること)が行わる為の自然のメカニズムです。
2)day12(E2は高濃度)
E2のカーブのピークが、LHサージのトリガー(引き金)になります。
この時のE2は、上記の表のように「(+)排卵の促進」になります。
(E2の正のフィードバック作用=LH↑、FSH↑)
上記の1)2)のようにE2は卵胞を発育・成熟させます。
これは、自然周期のケースなので卵胞が1個に絞れてくることを前提にしていますが
排卵誘発剤(COH)をかけて複数の卵を発育・成熟させる時は、くすりによってFSH・LHのコントロールをしてゆく訳です。
その為に、誘発剤が体質に合うか?合わないか?の反応がPOINTとなり、コントロール感が大事になります。
【E2の子宮収縮の促進について】
これは着床期の子宮内膜の話です。
E2は、子宮内膜を増殖し肥厚させます。それだけは着床期の子宮内膜を維持することができないのでP4と共同作業をします。
着床には着床期の子宮内膜が、受精卵を受け入れやすくする為に「前脱落膜化」していなければなりません。
そのトリガーの役目を担うのは「P4」であり、P4が前脱落膜化を完成化させます。
子宮が子宮収縮をしてしまうと、受精卵が子宮内膜に着床・浸潤してゆきにくくなります。
P4とE2の綱引きが始まります。
子宮収縮を促進(+)するE2に対して P4がその子宮収縮を抑制(-)する訳です。
着床するタイミングの合わせて、アクセルとブレーキという相反する動きが子宮内膜上でバランスをとってゆく訳です。
着床に関しては別のページにゆずり
ここでは、E2の排卵促進の働きをみてゆきましょう。
「えっ? 卵子が成熟しないの?
卵胞が大きくなっているのに・・?!
変性卵や空砲になっちゃうってこと?」
左の図はD3の卵胞回りです。
【D3のFSHが高い理由】
卵胞の中にE2に分泌されていますが、E2濃度が低かったり
すると脳は卵胞をより育てようとFSHホルモンを過剰に放出
します。イエローのYマークのFSH受容体のアンテナが少ない
からです。
【卵胞内のE2産生】
E2は、LHの刺激を受けて・・
ブルーの莢膜細胞で男性ホルモンであるテストステロンを
産生します。そしてアロマターゼという酵素の変換によって
イエローの顆粒膜細胞からE2を卵胞内に分泌します。
男性ホルモンが多くて酵素の変換力が弱いとE2は上昇しません
【D8~D12の大きな変化 LH受容体の発現】
この時期には、イエローの顆粒膜細胞にブルーのYマークで
あるLH受容体のアンテナが立たないと、
卵胞は大きくなっても中の卵子が成熟しません。
《卵胞が大きくなっても・・卵子が成熟しない理由》
赤い卵子を直接、「お包み」のように包み栄養を与えて
不要なものをとってあげる乳母の働きをする卵丘細胞が
います。ピンクの丘です。
このピンクの丘にLH受容体のアンテナも立たないと
卵子はしっかり成熟しません。
卵子とピンクの丘(=COC)に十分に
膨らみをあたえるのはP4です。
卵子を排卵モードに引っ張るのはLHですが
LHがP4に働きかけないと卵子は成熟しないばかりか
やっと出来た成熟卵子を卵胞の外に出す為に
卵胞の膜をやぶる(=卵胞破裂)
働きをするのも「P4」です。
《図の解説》 脂質代謝を「母なる川」となぞえてのイラストになります。
縦の棒を境界線にして、世界が変わります。
★左サイド: 祖母なるホルモン 分岐点プログネノロンから来る「P4代謝系」
☆右サイド: ホルモンの基準値Ⅱ「E2代謝系」
共に・・ルーツはコレステロール! そしてそこから派生してくる性ステロイド・ホルモンです。
以下は、☆右サイドの「E2の代謝系」のE2の産生の話になります。
このページは、上期イラストのPINKの枠である「卵胞ホルモン E2代謝系」の話をしてきました。
次に閉経を心配している方には、E2(エストラジオール)・E1(エストロン)・E3(エストリオール)の理解が必要です。
この3つは総称して「エストロゲン」と呼ばれます。
このグループは、美のホルモンと呼ばれています。健康美の「美」です。肌をつやつやにしたり、髪の毛に張りを与えたりします。
閉経とともに、E2のパワーが落ちて、世代交代でE1で入れ替わってきます。
世代交代をしても、閉経を迎えても肌や髪の毛の潤いを失わせずにカラダを健康に守ります。
だだ、E1では卵胞は育たない。 世代交代が起こる前にE2の血中濃度が上がらなくなります。
閉経はいきなりは来ません。閉経までのステップがあります。
それが次のトピックになります。
卵子の成熟にはLHが必須です。
D3ではなく、D8あたり。
卵胞の中に溜まってくるのはE2、P4(黄体ホルモン)
そして、P4から代謝してゆくコルチゾール。
採卵前のP4のコルチゾール化が怖いのはなぜ?
詳しくはこちらをご覧下さい。
排卵には、適度な炎症作用が必要です。
大切なのは・・「適度な爆発」
LHと炎症系のPG(プロスタグランディン)のパワーが必要。
排卵には二つの顔があります。
①卵胞の成長×卵子の成熟
②炎症作用(プロスタグランディンとコルチゾールのツー・タッグによる適度な炎症) この2面性が必要です。
治療中の方は、①の面ばかりをみており、②をあまり意識していません。
つまりLHと炎症作用がないと排卵はしません。炎症作用はOHSSや空胞、そして変性卵の理由を知る為には必要です。
生理痛も炎症作用のプロスタグランディンが原因。それに対して抗炎症作用で「炎症」を抑えるのがコルチゾール。
両者にはメリットもあれば、デメリットもあります。
前者はPG産生過程において、「活性酸素」を産出し、後者は「血糖値」を上昇させてしまう弱点もあるのですが、
人が生きる為に必要だからこの世に存在しています。
★ 詳しくは・・こちらをご覧下さい。
↑ CLICK 「排卵には二つの顔がある。適度な炎症系」
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