エストラーナ・テープを使った彼女たちの声を聞いてみましょう。
「テープ!かゆい・・・ かゆすぎる・・・内服に変えてもらったら吸収の効果落ちるのかな?」
「あ、貼り方をまた間違えちゃった・・・」
「うちのクリニックではたくさん貼らせるからもう貼るところがない、なんで皮膚から吸収できるだろう?」
「ホルモン周期で楽だと・・言われたのに 移植前の内診採血でE2が上がらない また移植キャンセルだ」
「え? 私は、E2が上がりすぎて困っている。黄体補充をしてからのE2とP4のバランスが心配」
「あんなにたくさんの枚数を貼るけど・・ 0.72mgって他の薬に比べて多いの少ないの?」
「病院によって、貼り方が様々だよね? 黄体補充も色々だし・・ なんで?それで違いとがが出るの?」
↑ 着床前!胚盤胞のなりかけが子宮内膜と信号を送り合っている瞬間の絵です。
当然ながら その信号が届かない場合もあります。
不妊治療という方法は・・卵巣の調整と、子宮内膜の調整 この2つで決まります。 (←一般不妊治療の場合)
体外受精(移植でホルモン周期)ならば少し、複雑になってきます。
外部で育てた胚(=受精卵)の成長スピードと、子宮内膜の成長スピードの同期(=シンクロ)を考えないといけないからです。
E2(エストロゲン製剤)であるエストラーナ・テープは、「卵巣の調整」と「子宮内膜の調整」で使われる訳です。
移植は、次の絵↓のようにして行われます。
ETとは初期胚移植(2日目~3日目の受精卵を△の点で、整えた子宮に戻すこと)
BTとは胚盤胞移植(5日目~6日目で胚盤胞になった受精卵を△時点で
整えた子宮に戻すこと)
この時「整えた子宮内膜」というのはただ子宮内膜が厚くなったから、「よし!整った」という訳では残念ながらないです。
1)受精卵と子宮内膜のシグナルがちゃんと合っていること。
⇒ 上記の赤い絵ですね。卵と内膜のにらめっこしている
2)受精卵を中に受け入れる準備ができたこと。
⇒ HRTでは、黄体補充のタイミングと量と種類が合っていること
3)子宮内膜の中に、胚盤胞になり透明膜を脱いだ状態でしっかりと 浸潤してゆくこと。
⇒ オートマチックには入りません。
この3STEPを踏んで、着床となり胎盤形成が平行して進んでゆきます。
上記のイラストのように
E2製剤(=エストラジオールが増える薬)とP4製剤(黄体ホルモンが増える薬)の両方が必要な訳です。
自然周期とHRT(ホルモン周期)でも、大きな差があります。
何度か移植をしている方は、自分は自然周期が合っている。逆にHRT周期の方があっているいう「掴み」を持っていますが
全くの初めてだとどちらがいいのか?病院にきっと相談される方もいると思います。
化学流産までは行った人は、着床は当然しているので受精卵と子宮内膜の時間軸のタイミングが合ったということです。
そのプロコトルを踏襲してゆくことを先生と相談すればいいです。なぜかは? 着床をエレベータに例えて説明しています
HRTの大切な点は、胚(=受精卵)の成長スピードと・・ 子宮内膜の変化(増殖期⇒分泌期)成長スピードの同調です。
まるで駅のエスカレーターから下のフロアに降り立つように感じが着床だと思ってください。
まるで駅のエスカレーターから下のフロアに降り立つように感じが着床だと思ってもらうと分かりやすいかも知れません。
女性たちにはそれぞれのエスカレーター(子宮内膜の変化)があります。
その回るスピードと飛び出すタイミングが合わないと下の「フロア」にいけないです。下のフロアは着床です。
着床は、着床の窓(=WOI)が合っただけでは着床しません。 子宮内膜に浸潤できて着床です。
最近ではERA検査で着床の窓を特定する検査が流行っています。都内でも様々な施設で調べることができます。
先程、HRTは黄体補充をスタートさせるタイミングとP4製剤の種類と量が大事だといいました。
ERAは、黄体補充をスタートし始めてから着床の窓が開いたならば、「P+5」で受容(=レセプティブ)ならば
本番のBT/HRT周期でもBT(D5)つまり 黄体補充をしてから5日後に移植をすれば窓は合うという考えです。
「P+6」ならば窓が開くのが一日遅いということになるので、BT(D6)つまり6日後に移植をすれば窓は合うとなります。
ここで考えて欲しいのは、子宮内膜の変化成長スピードのみを見ているだけなので
胚の成長スピードも、窓が開いた後の胚の浸潤のことまでは考えてないということになります。
★★何がいいたいのか?というと
体外では・・胚の発育スピードの方が、子宮内膜の変化より遅れているという事実があります。
自然周期とHRT周期がどちら自分には向いているのか?という問題が生じます。
「ホルモンに自信がないからHRTを選びました」
「排卵の日程が安定していないからHRT・・」
「仕事スケジュールが調整しやすいからHRT・・」
これは患者さんにとってはとてもいいメリットです。
卵にとっては、関心がないとも言えるかも知れません。
卵にとっては、成長スピードと子宮内膜の成長スピードが同期していればいいと考えているはずです。
自然周期ではしっかりとした排卵がなくては、排卵後の子宮環境が変わってしまいます。だから実際は一部ホルモン補充をします。
オートマチックな子宮内膜調整で、そのパターンに当てはまる人は、そのオートマチックは便利で快適です。
でもそのパターンにあてはまらない場合は、 HRTのコントロール方法を模索していかないとならないです。
ある意味・・オートマチックなエスカレーターだと思っていいと思います。 子供やお年寄りだと写真のような下りのエスカレーターは
降りるのが難しくなります。 タイミングが合いにくいからです。
自然周期は、P4の上がりかたはゆっくりですが、窓が開くのはHRTに比べて半日は早いですし、HRTはその逆です。
※ オートマチックがゆえの難しさは、この記事で後述します。
イラストで描いたように、体外の移植周期は E2製剤とP4製剤の組み合わせて「エスカレーター」のように個人に合わせて
子宮内膜を作ってゆくのですが、E2製剤とP4製剤の組み合わせによって実現させます。
内服薬によるHRT、 そして 貼り薬(エストラーナ)によるHRTによるHRTに分けられると思います。
《内服薬によるHRT》
●プレマリン (経口結合型のE2製剤)
●ジュリナ (経口天然型のE2製剤)
この2つは、肝臓を循環してから子宮内膜に届きます。
「肝初回通過効果」として腸から肝臓で循環しているにE2製剤が不活性化を受けてしまいます。
つまりロスが生じてしまうので、一般的には内服薬ではなく
ダイレクトに届くエストラーナをチョイスするのが多いです。
《貼り薬によるHRT》
●エストラーナ・テープ《経皮天然型のE2製剤》
血中E2濃度の高さは次のようになります
① 黄体補充(P4)の前
ジュリナ < プレマリン < エストラーナ
② 移植時 つまり黄体補充(P4)をいれてから数日立
ジュリナ < プレマリン < エストラーナ
以下の図 ↓ 参照
貼り薬エストラーナは、内服とは違って、肝臓を循環してから子宮内膜に届くダイレクト感があります
つまり、「肝初回通過効果」を通さないということです。
1)それは、E2の血中濃度の日内変動(日中のUPDOWNのこと)が飲み薬に比べて少ない。
2)さらに飲み薬に比べて、静脈血栓症の増加の微リスクも少ない。
3)ジュリナにはないが、プレマリンにはある「血液凝固亢進」の微リスクもエストラーナでは少ない。
エストラーナテープがファースト・チョイスに選ばれる理由もわかると思います。
《エストラーナの代謝》
肝臓に最も多く存在している( 腎臓; 肺; 小腸. なども)シトクロムP450(CYP)と呼ばれる
薬物代謝酵素で代謝されます。
その為に、いくら「肝初回通過効果」は通さないといっても、人によってE2数値の出方に差がでるのは
このシトクロムP450の代謝力の差があるからです。
《エストラーナによるE2の血中濃度の差》
E2の血中濃度には自分のホルモンである内因性のE2と、エストラーナ-による外因性の薬によるE2と
2つが混じってきます。
その為に、テープのよるE2の上昇に個人差が出てきます。
もともと内因性のE2が高い人は、エストラーナの代謝も増してより高くなりますし
もともと内因性のE2が低い方は、 逆に張っても高くならない。
内因性のE2も、アンドロゲンから脂肪を経てE2になるルートと、肝臓のフリーE2のルートのバランスで
E2の出方が異なってきます。
結局は、HRTは、内服薬(ジュリナ・プロギノーバ・プレマリン等)や貼薬エストラーナ-テープにしろ
E2をコントロールして、 シビアなP4補充のタイミングをへて、E2に応じたP4バランスを作ってゆくことだと思います。
先程も申したように、オートマチックでそれが実現できる人もいれば、そのオートマチックさから外れる人もいます。
クリニックによって、E2製剤とP4製剤の組合せ(量・種類)が異なるのも、少しでもオートマチックさから漏れるひとを
救いたいという個人対応だと思います。
病院の薬剤管理を考えるとシンプル化するのが効率的です。 ミスも少なく集計も楽です。
でも、オートマチックさに当てはまなくなったならば・・それに気がついたならば、 患者力を駆使して
色々とクリニックに相談してみるのもいいと思います。
その為には、自分のカラダを知らなくていけないので、もっと敏感になられると良いと思います。
体外受精のデータ分析をして「ロス」を防ぎたい
その人その人に・・detailingを通してカスタマイズします。
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