高齢女性の場合は、③のLH異常による卵巣組織の線維化というものが閉経の前に現れます。
閉経が近づいてくると・・卵巣が硬くそして萎縮してきます。
妊娠し難くなる理由
1)卵胞の莢膜細胞が硬く、そして厚みを増していくこと。
⇒ 男性ホルモン(アンドロゲン)優位になる。
2)卵子の細胞膜が硬くなる。
⇒ 精子が入り難くなるので、自然妊娠が難しくなる。
3)卵巣が硬く線維化してくる。
⇒ 男性ホルモン(アンドロゲン)優位なる。
FSHが高い!またはFSHが低い!その対策をしたいという方は非常に多いと思います。
排卵誘発のプロコトルにおいては
FSHとLHのバランスが大事になります。この2つは同時に見ないとならないです。
LH「黄体刺激ホルモン)は、卵胞の一番外の膜「莢膜細胞」にあるLH受容体でキャッチされます。
それによって、男性ホルモン(アンドロゲン)が作られます。
そして、それが上手くE2に変換できなければ、E2はあがらずに・・
脳は それでも卵胞を育てようとE2上昇を狙い・・FSHのホルモンを下垂体から放出させます。
顆粒膜細胞にあるFSH受容体の数が少なくなっているから、FSHのホルモンをドバドバと放出させるのです。
この時に、Feedback系のメカニズムが聞かないとFSHは更に上昇してゆきます。
自然に戻る場合が多いので・・一時的なFSHの上昇で慌てないことが大事です。
そして、自然に戻る頻度がだんだんと弱くなってゆきます。
たとえば、3周期に1周期くらいしかFSHがbetterラインに入ってこないなど。
それでも決して焦らないこと。
薬でFSHを落とすには3つあります。
1)ピル(E2製剤とP4製剤の混合剤)で落とすやり方
2)カウフマン療法(周期におけるE2製剤とP4製剤の投与)
3)E2製剤で落とすやり方があります。
⇒ 脳がE2は十分に足りていると思うと、E2を増やす為にFSHを放出する必要がないと判断し
FSH値は当然ながら、下降してきます。
(1)も(2)も基本的には同じです。
E2製剤の特徴とP4製剤の特徴を・・個人別のオーダーメイドピル方式(種類・量・期間)にしないと
閉経が近づいているかたは、良かれとおもった方法にネガティブな面が出るので・・
しっかりと薬の知識をつけることが大事です。
高齢妊活者の場合は・・
ピルのネガティブな面が次周期に出て、卵胞が育ち難くなるケースもあるので
主治医の先生とよく相談することが大事です。
P4製剤には、男性ホルモン(アンドロゲン)受容体に作用するものと、作用しないものがあります。
男性ホルモンというと、あまり気にせずに飲んでいる方もいます。
【年齢が高い方は卵胞の膜が硬い・ 卵子の膜が硬い・卵巣の表面が硬い】
FSHというホルモンは、卵胞を育てるホルモンです。
一方
LHというホルモンは、卵子を成熟させるラインに乗せてゆくホルモンです。
排卵を促すホルモンと一般的に言われいるので、額面通りに受け取って
しまうと結果だけをみてしまい、そのプロセスを見ることを逸してしまいますね。
大切な「つかみ」なので、もう一度言いますが
LHというホルモンは、卵子を成熟させつつ・・黄体化の準備をするホルモンです。
【高齢の女性は、男性ホルモンが多くなる】
閉経が近づいてくると、D3のLHも高くなってゆきます。
その時・・卵巣は硬くなり、
卵胞の外の膜(莢膜細胞)も硬くなる。そして、卵子も膜も硬くなります。
すべて、LHというホルモンにさらされ過ぎてしまっているからです。
これが、高齢での妊娠が難しくなる原因の一つです。
硬い・・ということ。
【LHというホルモンは、卵胞のどこに影響するのだろうか?】
仮に採卵がD12だったとしたら、 イラストはD8あたりでしょうか?
でも、みな生理周期と卵胞の成長サイクルが一致している訳でもないので
どうしてもズレてきてしまう人もいます。
【正常の方】 一致している
〈 生理 周期 〉
〈 卵胞の成長サイクル 〉
【ズレた方】 卵胞の成長サイクルがズレている、高温期から卵が育ってくる。
〈 生理 周期 〉
〈 卵胞の成長サイクル 〉
D3の内診にすでに大きな卵胞が育ってきてしてしまっている方は
前周期の高温期にE2を伸ばす原因が潜んでいるので、
E2に転嫁されるアンドロゲン(男性ホルモン)が活性化しているのは間違いないので
それを後押しするようなDHEAは、その高温期には飲まないという工夫・戦略も有効です。
このように
前周期の高温期において男性ホルモンであるアンドロゲンが多く分泌されていると色々と不具合が出てきます。
前周期で使われるピルのP4成分やP4製剤に特徴によっても、不具合が出てくる可能性があります。
でも一番怖いのは・・薬を上手く使わないと
男性ホルモンばかりが卵巣の外の膜に溜まってきて、卵巣の膜が厚くなる(=線維化)ことです。
長い間、LHのシャワーを浴びせられて、アンドロゲン優位になってゆくとこのように硬くなります。
LHで硬くなる「卵胞の膜」
LHで硬くなる「卵子の膜」
LHで硬くなる「卵巣の表面の膜」
硬いというのは、本当に良くないものです。 これが人間の妊娠を難しくしている理由の一つでもあります。
下の絵をご覧くささい。 自分の現在地はどこでしょうか? MAP感をつかむと安心すると思います。
横軸は・・閉経が0だと過程すると、マイナスは閉経前、プラスは閉経後になります。
縦軸は・・ FSHやLH値、 そしてE2(エストラジオール)などの健康美のホルモン「エストロゲン」。
※ 閉経後は、E2が上がらなくなるから代わりにE1(エストロン)が代替してきます。
これが世代交代のサインです。
カラダの細胞に潤いをましたり、髪の毛が抜けないようにしたり
骨粗鬆症をさける為にも「エストラジオール」は大事なので
強さがE2の10分に1しかなくてもE1は必要になります。
《青色マークの方へ》
各クリニックは、それぞれの治療方針において「青色マーク」のゾーンでは、卵胞の周りに立ったFSH受容体のアンテナを
増やして、卵胞を育てる技術を持っていますので、主治医の先生に相談してみてください。
卵巣が疲れて一時的に卵巣から下垂体などへのネガティブ・フィードバックが効かない周期が現れる現象も珍しいことではないので
まず相談してみて下さい。卵巣が元気を取り戻して自然と治る場合もあれば、ピルの処方やカウフマン療法などのFSH調整を
いれることによって回復することもよくあります。
E2製剤(例:プレマリン等)でE2を上げながら、FSHを下げてゆく方法などは、E2によるFSHの正のFeedbackを使って
コントロールしてゆく方法です。ここは、「ホルモン基準値Ⅰ」で説明したところです。
また、薬を使うと卵巣が眠ってしまい採卵周期にうまく卵巣が目をさまさない方にも、さまざまな方法があります。
《黄色マークの方へ》
早期閉経(POI)の方たちが、このゾーンにいると思いますが専門のクリニックがありますので
決して諦めないでください。
人のカラダには、「寛解期」というものがあります。閉経を迎えて人が一時的に寛解期のゾーンに入り卵巣機能が回復する例も
珍しいことはないです。
「明らかなる閉経」と「みなし閉経」の二つがあるので、気落ちはしないことがまずは大事。
40歳未満の続発無月経、FSH 40以上の基礎知識は・・こちらの別ページにて説明しています。
POINTは4つあります。 クライアント様に徹底してうまくいった4つのポイントになります。
詳しくは、 こちらで説明しています。
「空胞や変性卵の原因5つ」を記述しているページになります。
不妊治療で苦労されている方の特徴として
「原因が知りたい」という強い特徴があります。でも、大切なのは「仕組み」を知ることだと思うのです。
自分のホルモンと比較して、「仕組み」を知らないと・・主治医の先生と対策を練る話が出来ないからです。
その為、このページでは、医療サイドの空胞・変性卵の防止の工夫と、受精・培養面の工夫を記しています。
また、ホルモンを知らないと・・今 一生懸命に努力していること「サプリメントや食事や睡眠や民間療法」との関連性が取れずに
バラバラの努力をすることになるからです。 お金ばかりがかかってしまいます。
★卵子の成熟とはGV卵がMⅠ卵を経て・・成熟卵であるM2Ⅱになるまでのプロセスです。
したがって、D(変性卵)やE(空胞)は卵成熟をしなかったということになります。
GV・MⅠ・MⅡ卵のそれぞれの特徴を理解し、採卵前の卵巣で起こっていることを理解するこが大事になります。
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